電磁アクチュエータ技術コラム:基礎から最新トレンドまで
Column
レーザー光を安全に遮断する「レーザーシャッター」とは?
1.はじめに
レーザー加工やレーザーマーキングなど、工場や研究施設で幅広く活用されるレーザー光。しかし、レーザー光は高エネルギーであるため、皮膚や眼に重大な障害を引き起こすリスクがあります。
そのため、レーザー機器を安全に運用するには、レーザーを適切に遮断するための「レーザーシャッター」が欠かせません。
本コラムでは、レーザー遮断用シャッター製品について、その役割や種類、選定ポイントについてご紹介します。
2.なぜレーザーシャッターが必要なのか?
レーザーは、クラスによって危険度が分類されています。特に「クラス3B」や「クラス4」に分類されるレーザーは、直接光だけでなく、反射光でも人に害を及ぼす恐れがあるため、十分な安全対策が求められます。
その中で、レーザーシャッターは次の役割を担います。
- レーザー発振中に、不要なレーザー光が外部に漏れ出すのを防ぐ
- 非常時において、瞬時にレーザーを遮断し、事故を防止する
- メンテナンスや装置開放時に、作業者を保護する
レーザーシャッターは、レーザー装置の一部として組み込まれたり、別途安全機構として設置されることもあります。
3.ロータリーソレノイド方式のレーザーシャッターご紹介
ロータリーソレノイドとは、電磁力を利用して往復回転動作(揺動運動)をするアクチュエータで回転ソレノイドとも呼ばれます。
ロータリーソレノイドにシャッターを取り付けることで、簡単にレーザーシャッターを製作することができます。
シャッターは電源が投入されるとシャッターが「ON」位置に移動し、レーザービームの光路を開放します。電源がオフになると、リターンスプリングの力でシャッターが「OFF」位置に戻り、レーザービームを遮断します。
通常、電流が流れていない状態では、シャッターは「CLOSE」位置にありますので、非常時にも安全を確保することが可能です。
参考機種 復帰ばね付きロータリソレノイド
RSR28/17-SR RSR28/17-SR | ソレノイドのタカノ株式会社 | 産業機器部門
RSR28/17-SL RSR28/17-SL | ソレノイドのタカノ株式会社 | 産業機器部門
本機種にはシャッターは付属しておりません。シャッターを準備していただき、円盤部に取り付け固定することでレーザーシャッターとしてご使用いただけます。
シャッターの設計も承りますのでご相談ください。
駆動回路例

リレーを使ってON-OFF切替することで、駆動させることができます。
ただし通電極性がありますので、外観図を確認いただき、リード線の色と極性、回転方向をご確認ください。
遮断用シャッターとしてご利用いただける両励磁タイプのロータリーソレノイド(バイスロータリーソレノイド)や、シャッター付きのソレノイドも取り揃えています。両励磁タイプは、動作時以外は無通電であるため、低電力、低発熱な特長を持っています。ご使用用途に合わせて適切な機種を選定ください。
4.用途例のご紹介
産業用レーザー加工機
レーザー切断機、レーザー溶接機、レーザー穴あけ装置などにおいて、作業中の安全確保や非常停止時にレーザー遮断をするシャッター
レーザーマーカー/レーザー刻印機
製品への印字やマーキングを行う装置で、加工対象が無いときや異常時にレーザー照射を遮断し、誤照射や安全を確保するシャッター
光学測定・分析機器
顕微鏡、分光器、干渉計などの光学機器において、レーザー光を必要に応じて遮断し、装置や検出器の保護、作業者の安全確保をするシャッター
医療機器(治療・診断用レーザー)
レーザー治療装置、眼科用レーザー、皮膚科用レーザーなどで、患者や医師をレーザー漏洩から守るためのシャッター
研究開発・実験設備
大学・研究機関・企業の研究所などで、高出力レーザーを用いる実験装置に取り付け、実験準備中や異常発生時の安全確保を目的に、レーザーを遮断するシャッター
レーザー通信・光ファイバー通信システム
高出力のレーザーを用いる光通信設備で、保守作業時や障害発生時に自動でレーザー光路を遮断し、機器や作業員を保護するシャッター
5.まとめ
レーザー機器の普及に伴い、レーザー遮断用シャッターの重要性はますます高まっています。
用途に応じた適切なシャッターを選び、安全対策を万全にすることが、安心・安全なレーザー運用につながります。
タカノでは、各種シャッター機構に関するご相談にも対応しています。
製品選定やカスタマイズのご要望がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
6.お問い合わせ・関連情報のご案内
タカノ株式会社のレーザーシャッター用ソレノイドは、
- 業界最小クラスの小型設計
- 高速応答でレーザー遮断に最適
- 非常時の安全確保機能
- 低電力・低発熱設計
ご検討中の方は、下記リンク先より詳細をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。