電磁アクチュエータ技術コラム:基礎から最新トレンドまで
Column
宇宙で光衛星間通信を支えるレーザーシャッター技術
1.はじめに
宇宙空間という極限環境で使用される機械部品には、地上とは桁違いの信頼性と耐久性が求められます。その中でも、光を瞬時に制御する「メカニカルシャッター」は、衛星に搭載される精密機器の中でも特に重要な役割を担う部品です。
タカノでは長年培ってきたアクチュエータ技術を応用し、宇宙仕様のレーザーシャッターを開発してきました。本コラムでは、宇宙で求められる性能を満たすシャッターの特長をご紹介いたします。
2.宇宙で求められる高い信頼性を備えた光制御技術

近年、人工衛星間のデータ通信において「光通信技術」の活用が急速に進んでいます。光衛星間通信は従来の電波通信に比べて、通信速度が大幅に速く、通信容量も大きいのが特徴です。また、光は指向性が高いため電波干渉が少なく、秘匿性にも優れています。近年は、低軌道衛星を光で接続することで、地球全体をカバーする次世代の宇宙通信ネットワーク構築が進められています。
一方で、光通信には高精度な機械制御が求められ、その実現には極めて精密な機構部品が必要不可欠です。
その中でも重要な役割を担っているのがシャッターです。
3.宇宙仕様レーザーシャッターの特長
タカノでは、宇宙空間で使用可能な高信頼性のレーザー遮光用のメカニカルシャッターを開発及び販売しています。以下の特長により、過酷な宇宙環境でも安定した動作を実現しています。

- オイルレス軸受け採用によりアウトガスの発生を防止
宇宙空間では、軸受けからの揮発物(アウトガス)が光学系(カメラやレンズ)に悪影響を与えるため、オイルを使わない軸受け技術が必須です。 - 周囲温度-40℃まで使用可能な耐環境設計
宇宙機器は低温環境にも耐えなければならず、低温での確実な動作保証が必要となります。 - 軽量設計による打ち上げ輸送コストの軽減
軽量でコンパクトな設計は、衛星の打ち上げ重量削減に貢献します。 - ロータリーシャッター方式による安定動作の実現
ロータリー方式は摩擦や摩耗を抑える設計のため、メンテナンスができない宇宙空間で、長期間にわたる安定した動作と高い信頼性を実現しています。
ロータリー方式のレーザーシャッターについてより詳しく知りたい方は
こちらのコラムをご覧ください。
遮光の様子や駆動回路を説明しています。
「ローターリー式シャッター」と「スライド式シャッター」の違いについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
4.まとめ
宇宙での光通信を支えるレーザーシャッターは、高速で正確な開閉を繰り返しながら、光学系を保護し通信品質を維持するための重要な部品です。タカノの技術は、その厳しい要求に応えるべく開発されており、今後の光通信システムのさらなる発展に貢献してまいります。カスタム設計対応していますのでお気軽にお問い合わせください。
5.お問い合わせ・関連情報のご案内
タカノ株式会社の宇宙仕様レーザーシャッターは、
- アウトガス対応のオイルレス軸受け
- -40℃の低温環境での動作保証
- 軽量・コンパクト設計
- 長期間メンテナンスフリー
宇宙用途向けの特殊仕様や、カスタム設計についてご検討中の方は、下記リンク先より詳細をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。