電磁アクチュエータ技術コラム:基礎から最新トレンドまで
Column

【光学シャッター徹底比較!】スライド式VSロータリー式

1.はじめに

このコラムでは、赤外線カメラやレーザー加工機、精密測定機器などで活用される「光学シャッター」の種類や仕組みをわかりやすく解説します。
特に、代表的な2種類である「スライド式」と「ロータリー式」の構造や特性を比較し、それぞれの用途や選定時のポイントをご紹介します。
光学シャッターの導入をご検討中の方にとって、最適な選択の一助となれば幸いです。

2.光学シャッターとは?

光学シャッターは、光学機器や精密測定機器において、光の透過・遮断を制御するための重要な部品です。機械的な動作により、必要なタイミングで光を通したり遮ったりする役割を担います。

例えば、ボロメーター方式(熱検知型) の赤外線カメラでは、センサの画素ごとの感度ムラや温度ドリフトを補正するために、シャッターによる基準画像の取得(NUC補正:Non-Uniformity Correction、不均一性補正) が不可欠です。この補正処理に使われるシャッターの性能や耐久性は、カメラ全体の画像品質や測定精度に直結します。

3.スライド式VSロータリー式シャッターの比較

スライド式とロータリー式のシャッターにはそれぞれのメリット・デメリットがあります。使用用途に合わせてご選択ください。

スライド式シャッター ロータリー式シャッター
 
スライド式シャッター製品画像
ロータリー式シャッター製品画像
動作方式 シャッター板がスライド動作する シャッター板が特定の角度で回転動作する
シャッターの摺動
(すべり動く部分)
スライド時にシャッター板がレール部と摺動(接触しながら移動)する シャッター板の摺動(摩擦が生じる接触部分)がない
耐久性 10万回(1開閉で1回) 500万回(往復で1回)
開閉精度 シャッター板の位置ズレが発生しない 回転角度の位置ズレリスクがある
設計 開口部の形状が決まっているため設計の自由度は低い シャッター板の形状は自由度が高い
価格 一般的に安価
モーター駆動タイプは高価
やや高価

4.ロータリーソレノイド式シャッターの特徴

タカノでは、駆動アクチュエーターにロータリーソレノイドを採用したロータリーシャッターを豊富にラインアップしています。

当社製品の特徴は、コンパクトさ・耐久性・設計自由度の高さにあります。

①小型かつ高トルク
業界最小クラスの超小型設計ながら、大型シャッターの駆動にも十分なトルクを発揮。
狭小スペースへの組み込みが可能で、装置全体の省スペース化に貢献します。

②500万回クリアの高耐久
軸受けに支持された回転シャフトにシャッター板を直接取り付ける構造により、摺動部(部品同士が接触してすり減る部分) がなく、摩耗によるトラブルが発生しにくい設計です。
その結果、長寿命かつ高信頼性を実現しています。

③設計自由度が高い
アクチュエーターの設置位置やシャッターの開口形状を、動作範囲内で柔軟にカスタマイズ可能です。設計要件に合わせて最適なレイアウトを構築でき、機器設計の自由度向上に貢献します。

5.ロータリー式シャッターの活用事例

センサキャリブレーション
センサキャリブレーションのイメージ図

例:赤外線カメラ
赤外線カメラとは? 赤外線を利用して物体の温度分布を映し出すカメラです。
可視光以外の波長を使用するため人間の目には見えませんが、 物体から放出される熱(赤外線)を検知して赤外線画像を映し出します。

① キャリブレーションのタイミング
ロータリーシャッターは、一定時間ごと、または温度変化などの特定条件が検出された際に動作します。
たとえば、周囲温度が急激に変化したときや、一定時間が経過したときにシャッターが閉じ、補正処理が行われます。

② シャッターの動作
シャッターが閉じると、センサは外部からの赤外線や光を受け取らない状態になります。
このときセンサは、自身が発する熱的・電子的なノイズのみを検出することができ、内部の基準信号(オフセット)の取得が可能になります。

③ シャッターの解放と繰り返し動作
補正が完了すると、シャッターは再び開き、センサは外部の赤外線を正しく受信できる状態に戻ります。この動作を周期的かつ自動的に繰り返すことで、センサは長時間にわたって高精度な温度測定を維持できます。

遮光
遮光のイメージ図

例:レーザー加工機・レーザーマーキング

①光源の点灯・消灯速度の遅れを補うために用いる、高速メカニカルシャッター
レーザー加工機では、瞬時に光を遮る遮光機構が必要とされる場面があります。
光源のオン・オフ速度が遅い場合、加工タイミングにズレが生じ、精密な加工が困難になります。そこで、高速駆動が可能なロータリー式シャッターが採用され、光を正確なタイミングで遮断・透過させる役割を担います。
これにより、レーザーの照射タイミングを厳密にコントロールでき、より高精度な加工が実現されます。

②電源が落ちると永久磁石の力で復帰動作する磁気復帰モデルは、緊急遮断用のフェールセーフ機構(安全装置)として機能
安全確保のため、緊急時には迅速に光源を遮断することが求められます。磁気復帰モデルの光学シャッターは、電源が落ちた際に永久磁石の力で自動的に復帰動作を行います。これは、突然の電源喪失などのトラブル時に、光源を迅速にシャットダウンし、機器や作業者を保護するフェールセーフ機構として機能します。

6.まとめ

今回は、スライド式シャッターとロータリー式シャッターの特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介しました。

どちらの方式にも特徴があり、用途や設計条件に応じた適切な選定が重要です。

光学シャッターの導入・運用をご検討中の方にとって、本コラムが少しでも参考になれば幸いです。タカノでは、スライド式・ロータリー式の両タイプをラインアップしており、ご要望に応じたカスタマイズにも対応可能です。

ご不明点や製品に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

7.お問い合わせ・関連情報のご案内

タカノ株式会社の光学機器用シャッターソレノイドは、

  • 業界最小クラスの小型設計
  • 20ms以下でシャッターを開閉可能
  • 低電力

ご検討中の方は、下記リンク先より詳細をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。

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