電磁アクチュエータ技術コラム:基礎から最新トレンドまで
Column

【低アウトガス・クリーン仕様】真空・光学環境で“汚さない”シャッターソレノイドとは?

1. はじめに

真空環境で使う装置において、「光学系がなぜか曇る」「センサーの出力がずれる」「原因のはっきりしない性能劣化が起きる」といったトラブルはありませんか?その一因は、装置内部の部品から放出される「アウトガス(脱ガス)」かもしれません。

なかでも見落とされやすいのが、光路の近くに配置される開閉アクチュエーター(シャッター)です。本コラムでは、真空・クリーン環境において低アウトガス仕様が求められる理由と、タカノが実践する対策のポイントを解説します。

2. なぜ真空・クリーン環境で「アウトガス」が問題になるのか

アウトガスとは、樹脂、接着剤、グリス、配線被覆材などの部材から放出される微量なガス成分のことです。大気中では安定している材料でも、真空環境や高温環境にさらされると、内部に含まれる揮発成分が放出されやすくなります。

真空環境では、放出されたガスが装置内部を移動し、レンズ、ミラー、センサー、電気接点など、温度の低い面に凝縮・付着することがあります。一度付着した汚染物質は除去が難しく、装置の稼働に伴って徐々に蓄積する可能性があります。

特に、光路を開閉するシャッターやフィルター切替機構などの駆動部品は、レンズやミラーの近くに配置されるケースが少なくありません。そのため、駆動部品自体がアウトガス源になると、放出された成分が周辺の光学部品へ直接付着し、透過率や反射率の低下、測定精度の悪化を引き起こすおそれがあります。
このため、駆動部品は小型の機構部品であっても、光学部品やセンサーと同様に、高い清浄性と低アウトガス性が求められます。

3. タカノの低アウトガス・クリーン仕様シャッターソレノイドの特徴

光学シャッターソレノイド

タカノでは、真空・クリーン環境で求められる低アウトガス性と高い清浄性を実現するため、「①材料設計」「②部品洗浄」「③組立環境」の3つの観点から、製品づくりに取り組んでいます。

対策のポイント 具体的な取り組み内容 得られる効果
①材料設計 軸受、リード線被覆、接着剤などに低アウトガス性の部材を選定 アウトガスの発生源そのものを抑制し、周辺部品への汚染リスクを低減
②部品洗浄(脱脂) 組立前に脱脂洗浄を実施し、切削油や防錆油、微細な異物を除去。外装はエタノールで拭き取り 組立工程への油分や汚染物質の持ち込みを防ぎ、パーティクルを低減
③組立環境 クリーン手袋を着用し、必要に応じてクリーンベンチやISO 14644-1 Class 7相当のクリーンルームで組立・梱包 清浄な環境での一貫生産により、高いクリーン度を維持したまま納品

これらの対策は、要求される真空度や清浄度が高くなるほど工程数や管理項目が増えるため、コストにも影響します。タカノでは、お客様が求める真空度・清浄度・使用環境に応じて、①部材選定、②洗浄工程、③組立環境を最適に組み合わせ、性能とコストのバランスを考慮した仕様をご提案します。

▶ 光学機器用シャッターソレノイドの詳細はこちら
https://www.takano-sanki21.com/sanki/products/optical-shutters/

4. 低アウトガスシャッターソレノイドの主な活用事例

半導体製造装置・真空プロセス装置

真空チャンバー内での光量制御や遮光に使用されます。シャッターから放出されるアウトガスは、ウェハや光学部品の汚染原因となり、歩留まりの低下を招くおそれがあります。低アウトガス・クリーン仕様は、こうした汚染リスクを抑え、装置の安定稼働に貢献します。


分析・計測装置/レーザー機器

光学系やセンサーの清浄さが測定精度に直結します。光路近傍で動作するシャッターでは、低アウトガス化とクリーン環境での組立の両立が、精度の維持に繋がります。


宇宙・衛星機器

打ち上げ後は洗浄や部品交換ができないため、搭載機器から放出されるアウトガスがレンズ、センサー、太陽電池パネルなどに付着すると、性能低下に直結します。シャッターを含む可動部品にも、低アウトガス材料の選定が特に重視される分野です。



5. よくあるご質問(FAQ)

Q
アウトガス対策は、部品の材質変更だけで十分ですか?
A
材質変更(低アウトガス材料の選定)は非常に重要ですが、それだけでは不十分な場合があります。加工時に付着した油分の洗浄(脱脂)や、クリーンな環境での組立を組み合わせることで、初めて高い清浄性が担保されます。
Q
要求スペックに合わせたカスタマイズは可能ですか?
A
はい、可能です。タカノでは、お客様の装置が求める真空度やクリーン度に応じて、材料選定・洗浄レベル・組立環境(Class 7クリーンルーム等)を組み合わせた最適な仕様をご提案いたします。

6. まとめ

真空・クリーン環境では、アクチュエーターには「動作性能」だけでなく、「装置環境を汚染しないこと」も重要な性能の一つです。特に、レンズやミラーなどの光学部品の近傍で使用されるシャッターソレノイドは、アウトガスやパーティクルの発生を抑えるため、材料選定・部品洗浄・組立環境を一体で設計・管理することが重要です。
タカノでは、お客様が求める真空度や清浄度に応じて、低アウトガス材料の選定から洗浄工程、クリーン環境での組立まで最適な仕様をご提案しています。分析機器、真空機器、半導体製造装置、宇宙・衛星機器向けの低アウトガス・クリーン仕様シャッターソレノイドをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

7. お問い合わせ・関連情報のご案内

タカノ株式会社の光学機器用シャッターソレノイドは、以下の対応が可能です。
• 発生源を断つ低アウトガス材料設計
• 部品洗浄+クリーンルーム(Class 7レベル)組立に対応
• 要求真空度に応じた、過不足のない仕様のご提案

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